もう１０月・・・時間の流れの速さに翻弄される毎日
ふと、昔の記憶を遡ってみる
家の前はまだアスファルトに舗装される前のジャリ道で
幼なじみと二人、三輪車にお気に入りのヒーローの人形をくくり付け
いつも決まった空き地に行き砂遊びやヒーローごっこをする
この幼なじみとは小学校卒業と同時にご両親の都合で
引っ越してしまうまでほぼ毎日遊んでいた。

もう４０年以上前のこと・・・本当に断片的だがさまざまな事を思い出す
お互いの誕生日には、お誕生日会が開かれ
自ら選んだプラモデルを渡しそれを喜んでくれる姿を見て
こちらも幸せな気分になった。
一緒にいる時間が長ければ当然衝突することも多く
それがとても些細でくだらない理由だとしても
「こいつとはもう絶交だ！」そう心に誓う
しかし家が近くのため学校帰りの道は同じ
「バーカ！」
「バカって言うほうがバーカ！」
「バカって言うほうがバカって言うほうがバーカ！」
「バカって言うほうが・・・・・」
これを延々と繰り返しながら家路につくが
次の日は何事もなかったかの様に二人で学校に行く。

ご両親は二人共とても物静かでやさしく、それでいて躾には厳しい
食事の時にテレビを見るなんてもってのほか見る時間もしっかりと決められている。
つねにテレビがつけっぱなしの我が家とは大違いだった
家に泊まりに行ったときなど自分の家では体験することのない
静けさと、ご両親からにじみでる品の良さ
自然と背筋が伸びる思いがして出された料理は残さずすべて食べた
「ごちそうさまでした」と言うと
「お粗末さまでした」微笑みながら答える母親の姿
悪さをすれば正座をさせられ決して声を荒げることなく
ゆっくり諭すように叱ってくれる
頭の悪いクソガキでもそれが後になってジワジワと心に染みてくる
本当にこの家族には尊敬の念を抱かずにはいられなかった。
だからこの家で、おねしょをしてしまったという大失態は
私の人生の黒歴史のひとつである。

もう数十年彼と会っていないが結婚して子供もいると聞いている
きっと物静かでやさしい素敵な親になっていると思う
久しぶりに顔を合わせる機会があるとしたら
遊びに行ったとき大切に飾ってあった飛行機のプラモデルを
壊してしまったのは自分だと正直に告白するつもりだ。