何をやっても上手くいかない日がある
そんな時は朝からおかしい
悪夢を見た訳でもないし飲みすぎたせいでもないのに
まず、目覚めから気が滅入っている
まるで魂だけがフワフワと安定せず自分が自分ではない
妙な気持ち悪さが消えないのだ。
心身のバイオリズムが関係しているのか？
無知蒙昧な人間に分かるはずもなく
ましてやそれに抗うなどといった無思慮なふるまいもしない
出来るだけ何もせずただじっとその日をやり過ごすのみである。

生きる力に満ち溢れている者には到底理解出来ないことでしょう
「まったく情けない奴だ・・・」
と心の奥底で冷笑するかもしれません
それくらい勢いのある人が先頭に立って世の中を引っ張っていく
そして志が高い若者はそれに憧れ更なる高みを目指す
こちらは少し遠目からただただ感嘆するばかり

もっと前向きに積極的に精力的に・・・
この手の言葉に触れると軽いめまいを覚える相反する者にとって
生気に溢れ躍動する姿は真夏の太陽に様に眩しく
自分に疑いを持たず発せられた言葉は
その陽射しのごとく刺さる様に痛い
それを避けるように自然と後ずさりしてしまい
「あまり無理をしないでね・・・」と、いらぬ心配までしてしまう
大切に思う人ならなおのことだ。
ただ、これをあまり口に出してはいけない事も知っている
日々邁進していく者達に後ろ向きな雑音を挟み込むなど
失礼というものだろう。

ほどほどに努力して、ほどほどにお金を稼ぎ
ほどほどに良い人を演じて、ほどほどに生活する・・・
向上心のかけらもないと思われるだろうか？
否定はしない・・・これが今現在の素直な心境
当然胸を張って人に言えるものではないし言うつもりもないが
正論で塗り固められた話は、耳触りの良い言葉が羅列した歌と同様
不思議と心に何も残らない
真面目なだけでは、いい人なだけでは
世の中通用しないことは誰しも分かっていることでしょう。

何をやっても上手くいかないそんな日は
出来るだけ何もせずただじっと、その日をやり過ごしながら
慣れきった生活のなかで芽生えた傲慢さを丁寧にすくい上げ
「こらこら、お前の立ち位置はそこじゃないよ」
と、鬱々として自らを改める大切な時間となっています。
　　　　長谷部