朝の仕事が一段落して次の作業に移るまでのわずかな時間
缶コーヒーを飲みながら空を眺める
徐々に明るくなる空と雲の流れをただひたすら
ボーっと眺める
周りからはそれが奇妙に見える様で
「大丈夫？」と時々声をかけられてしまう
今は常に誰かとつながっていたり
何かを検索したりゲームをしたりせずに
ただ空を眺めていると心配されてしまうみたいです。

数年前には携帯電話を持つ自分の姿などとても想像できなかったが
今では仕事上必要不可欠な物になっている
分からない事があっても検索すれば何かしらの回答を得られるし
物忘れの激しいオジさんにとって心強い味方なのだが
機能のほんの一部しか使えていないのも事実
宝の持ち腐れ、とオジさんにスマートフォンは類義語でいいと思います。

先日、保護ケースがだいぶくたびれてきたので
買い替えようと家電量販店をあちこち回ったが
二年前の型となると古すぎてどこにも売っていない
取扱店にいたっては「一年を過ぎた型の在庫はありません」
とほぼ門前払い
そんな話を娘にすると携帯を数秒いじり
「あったよ」
「・・え？・・」
そして品物が翌日には届いてしまう
まったく恐ろしい世の中になってしまいました
トラックの運転手から曜日指定、時間指定にまつわる苦労話をよく耳にするが
この異常な物流スピードに対応している配送関係の方々には
本当に頭が下がる思いです。

そして今日も同じ時間に缶コーヒーを飲みながら
ボーっと空を眺めている
すると上空に突然大きな光の玉が現れる
青白く輝き線香花火のような火花を散らしながら南の空へ消えていった
時間にして４秒ほど
ニュースで時折紹介される火球というものだろうか？
周りでこれに気がついた人はいない様子
何も考えず空を眺めるという行為が
時間の無駄と感じる人もいるかもしれませんが
偶然にも壮観な天体ショーを独り占めできることもある
凝り固まった頭が少し柔らかくなれる不思議な気分になれます。

自宅で嫁さんにこの話をすると
「何で写真か動画を撮らなかったの？」
「・・・オジさんにスマートフォン・・・」
「何だよそれ？」
文明に侵された人間にはいまいち響かないようです。
長谷部