亜種
2021.06.22
幼かった頃の断片的な記憶・・・
雨の降る日、傘もささず裸足で外へ飛び出した
自宅前の坂道を無我夢中で駆け上がり
息が切れるまで走った
途中、兄の友達であろう人と合ったと思うが
はっきりとは覚えていない。
近くの公園まで行き腰掛けたコンクリート壁の割れ目から
生えている草をちぎって食べた
苦かった・・・なぜ食べたのか?理由はない
ただ・・・なんとなく食べた
そもそもなぜ雨の中裸足で外へ飛び出したのか?
まるで思い出せない
いや・・理由があったかどうかも疑わしい
近所では奇行の多い子供と思われていたのではないでしょうか
玄関先で大声で歌を歌っていたかと思えば
庭の花壇にあるアリの巣を爆竹で爆破する
遊び飽きたプラモデルも残らず破壊する
ある時はミニカー片手に近隣の家の外壁を奇声を上げながら走らせて
それに飽きると捕まえてきたアリジゴクにアリを何匹も投下する。
奇行は自宅周辺にとどまらない
授業中、漠然と頭に浮かんだ生き物とも模様ともつかない物を
ノート一面に描き続け
「気持ち悪い絵を描くな!」と先生からゲンコツをもらう。
一連の行動に理由などない
なぜ?と聞かれれば「なんとなく」としか答えようがないのである。
しかし、周りの大人は納得してくれない
そこには何か明確な理由があるはずだと疑わない
なぜ?どうして?の問いに「なんとなく」では許してもらえないのだ。
しかたがないので適当な理由を考えなければいけなくなる
常日頃、嘘はいけない事だと教えられていたと思うのだが
ここでは積極的に嘘をつく事を強要される
不思議なものだ。
そのうち、これは周りを心配させてしまう怒らせてしまう
など頭が悪るい分、繰り返しイタイ目をみながら感覚的に覚えていく
自らを装う事を覚えていく
これを成長と呼んでいいのかどうかは専門家ではないので分からない。
当時、もっと自分らしく個性を伸ばせ!などと言われていたら
いったいどんな人間になっていただろうとゾッとしてしまう。
今では奇行も少なくなり使ったポン酢を冷蔵庫ではなく
なぜか小物入れの棚にしまってしまう程度?で治まっています。
それでも心の奥底に潜むネジの外れた本性が
あわよくば顔を出そうと様子を伺っている
だから常に意識して出来るだけ普通の人の様に振舞う
それっぽく見える様に時折自らの気持ちに嘘を織り交ぜながら。
チョウの成長は幼虫からサナギになり完全変態をして成虫になる
単純にこれを人間に置き換えてみれば
幼虫が幼児、サナギが青年、成虫が成人という事になるが
これにはいささかの疑問が生じる
本当に成人(大人)が成虫なのか?
そう呼ぶにはあまりにも大人は不完全のような気がします。
チョウの目からすれば人間は幼児の後はずっと
サナギのままなのではないでしょうか?
それぞれの寿命を全うした時、肉体を捨て
そこで初めて人として完成体(成虫)になれるのかもしれません。
完全変態をして美しいチョウになれるのか?
はたまたサナギのまま朽ち果ててしまうのか?
自らを装い続けている人間の末路は果たしてどうなるのか?
想像もつきません。
長谷部
雨の降る日、傘もささず裸足で外へ飛び出した
自宅前の坂道を無我夢中で駆け上がり
息が切れるまで走った
途中、兄の友達であろう人と合ったと思うが
はっきりとは覚えていない。
近くの公園まで行き腰掛けたコンクリート壁の割れ目から
生えている草をちぎって食べた
苦かった・・・なぜ食べたのか?理由はない
ただ・・・なんとなく食べた
そもそもなぜ雨の中裸足で外へ飛び出したのか?
まるで思い出せない
いや・・理由があったかどうかも疑わしい
近所では奇行の多い子供と思われていたのではないでしょうか
玄関先で大声で歌を歌っていたかと思えば
庭の花壇にあるアリの巣を爆竹で爆破する
遊び飽きたプラモデルも残らず破壊する
ある時はミニカー片手に近隣の家の外壁を奇声を上げながら走らせて
それに飽きると捕まえてきたアリジゴクにアリを何匹も投下する。
奇行は自宅周辺にとどまらない
授業中、漠然と頭に浮かんだ生き物とも模様ともつかない物を
ノート一面に描き続け
「気持ち悪い絵を描くな!」と先生からゲンコツをもらう。
一連の行動に理由などない
なぜ?と聞かれれば「なんとなく」としか答えようがないのである。
しかし、周りの大人は納得してくれない
そこには何か明確な理由があるはずだと疑わない
なぜ?どうして?の問いに「なんとなく」では許してもらえないのだ。
しかたがないので適当な理由を考えなければいけなくなる
常日頃、嘘はいけない事だと教えられていたと思うのだが
ここでは積極的に嘘をつく事を強要される
不思議なものだ。
そのうち、これは周りを心配させてしまう怒らせてしまう
など頭が悪るい分、繰り返しイタイ目をみながら感覚的に覚えていく
自らを装う事を覚えていく
これを成長と呼んでいいのかどうかは専門家ではないので分からない。
当時、もっと自分らしく個性を伸ばせ!などと言われていたら
いったいどんな人間になっていただろうとゾッとしてしまう。
今では奇行も少なくなり使ったポン酢を冷蔵庫ではなく
なぜか小物入れの棚にしまってしまう程度?で治まっています。
それでも心の奥底に潜むネジの外れた本性が
あわよくば顔を出そうと様子を伺っている
だから常に意識して出来るだけ普通の人の様に振舞う
それっぽく見える様に時折自らの気持ちに嘘を織り交ぜながら。
チョウの成長は幼虫からサナギになり完全変態をして成虫になる
単純にこれを人間に置き換えてみれば
幼虫が幼児、サナギが青年、成虫が成人という事になるが
これにはいささかの疑問が生じる
本当に成人(大人)が成虫なのか?
そう呼ぶにはあまりにも大人は不完全のような気がします。
チョウの目からすれば人間は幼児の後はずっと
サナギのままなのではないでしょうか?
それぞれの寿命を全うした時、肉体を捨て
そこで初めて人として完成体(成虫)になれるのかもしれません。
完全変態をして美しいチョウになれるのか?
はたまたサナギのまま朽ち果ててしまうのか?
自らを装い続けている人間の末路は果たしてどうなるのか?
想像もつきません。
長谷部