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語るに落ちる

2022.03.29

整理整頓が苦手です。
これは身の回りの物だけではなく
日々、頭の中に流れ込んでくる情報や人間関係
すべてにおいての処理能力が間に合っていないと
心底感じるのです。

パソコンの様に高性能の物に買い換えればいいという訳にもいかず
ましてや連日のアルコール漬けでどれだけの脳細胞が死滅していることでしょう。
そんな訳で仕事に関わる必要最低限の情報以外
特に気にするのをやめました。

ただでさえ一般常識の乏しい人間がすることではありません
けっしていい方法ではないのは承知の上です。
ただ、それによって困ることはほとんどありませんでした
きっと普段、生活の中で見聞きする情報のほとんどが
私にとってワイドショーが扱うタレントの不祥事と同じくらい
不必要なものなのでしょう。

先日、スーパーの駐車場で車に乗った男性から声をかけられました
「長谷部君、長谷部君だろ!」
「え?・・ああ・・どうも・・・」
・・・誰だろう・・・
車から降りてきた男性は笑顔でこちらに向かってくる
どうしよう、思い出せない・・・人違いか?
いや私の名前を呼んだのだからそれはない
まずい、まずい、まずい!思い出せ!
思い出すんだアルコール漬けの脳細胞よ!
必死で過去の記憶を遡るがもう間に合わない
諦めかけた瞬間、一緒にいた奥さんを見て突然思い出す
十代の頃、勤めていた小さな工場でとてもお世話になった夫婦でした。

あぶなかった、今のは冷や汗ものだった
多少見た目が変わったとはいえ直前まで忘れていた自分を
恥ずかしく思いながらも、そんな素振りを見せることなく挨拶をします。
「ご無沙汰しています、お元気ですか?」
「いや・・実はそうでもないんだよ・・・」
聞くと重い病気を患い今は入退院を繰り返す生活なのだそうです
その為、大好きな酒もタバコも止められてしまい少し寂しそうでした。

当時、寝起きに飲むビールやタバコの美味しさを
未成年の私に熱く語ってくれるような楽しい?人で
少し気の強い奥さんに小さくなりながらも
「俺もガツンと言ってやりたいんだけどね・・・
いろいろあるから・・まあ・・しょうがないんだよな・・」
と、ささやくように語ってくれたこともありました。
今の私にはその言葉がよく理解出来て
とても、とても心に染みるのです。

「俺も後どれだけ生きられるのか分からないから・・」
「意外と、しぶといから大丈夫でしょ」
そんな短い会話をして別れました。
奥さんと寄り添うように歩く姿を見ていると
人は年齢を重ねるほど身の丈にあった生き方に
自然となっていくものかもしれないと感じます
それが病気という本人が望む形でなかったとしても。

もともと知り合いは少ない人間ですが偶然にも出会い
ましてや向こうから声をかけてくれるとは本当に有難い事ですし
私には充分すぎます。
これに限らず以前にも増して物やお金に対しても興味を持てない
無意識に身の回りの物を少しずつ整理整頓していって
いつでも西へ向かうことが出来る準備をしているのかもしれません。
  長谷部
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