Apprentice
2022.11.03
入野の長谷川です。
私は所謂リアリティ番組というものを全然観ないのですが、ドナルド・トランプが政界進出前に毎週出演していた「Apprentice(見習い)」という番組が全米で放映されていたのを何度か観たことがあります。
その内容は一般公募で選ばれた十余名のマーケティングビジネス志望者が一つのチームを作り、毎回違う参加者がリーダー役となってトランプの経営する広告代理店が受注した例えば新車の試乗会などの案件を課題として与えられ、それをチームで企画立案実行するというものでした。そしてその結果をトランプと娘のイバンカが酷評(トランプが他人を褒めることはほぼ無い)した上で、「最も役に立たなかった参加者」を選んで落としてゆき、最後に生き残った一人がトランプの会社に破格の報酬で雇ってもらえるという内容でした。
その内容もさることながら、トランプタワーに寝泊まりしている参加者は、毎週番組の最後にトランプの待つ会議室に文字通り荷物をまとめてキャリーケースを引いた状態で全員集められ、その中の一人がトランプの「You are fired!(オマエはクビだ!)」という決め台詞でそのまま下りのエレベーターに押し込まれ、正面玄関前で待っていたタクシーに乗せられて空港へと走り去る姿で番組が終わるというえげつない演出でした。
更に参加者は誰もが最後まで生き残って破格の待遇(カネ)を手に入れる為に必死で、企画が大失敗した時などは身の危険を感じたリーダー役が「失敗したのはアイツがミスしたらです」と言うと、名指しされた方は「アンタの指示の仕方が悪いからだろ」と、小綺麗なスーツとピカピカの靴でキメた大の大人が互いに責任をなすりつけ合い、罵り合う姿は強烈です。
当然の事ながら、かなりの演出・切り取り・編集がなされているのでしょうが、それでも米国、特に東海岸の一部のビジネスエリートと呼ばれる人達の拝金主義(完全に偏見?)、人間の欲深さと醜さを見せられる恐ろしい番組でした。