たまゆら
2024.12.17
知り合いから映画のお誘いを受け久しぶりに人混みに揉まれてきました。
とはいえレイトショーのため息が詰まるほどの混雑ではありませんでしたが
人混み恐怖症の人間が目を回すには十分なほどです。
早めに到着して少し時間に余裕があったので
ショッピングモール内を徘徊してみたのですが
これだけの店が軒を並べ豊富な商品があるにもかかわらず
琴線に触れるものが何一つないというのは私自身に大きな問題があるのでしょう。
以前、読んだ本に「年をとると感情の起伏が少なくなる」
と書かれていたことを思い出す。
「いやいや、そんなことはないぞ!」
と目の前にあるゲームセンターに足を運ぶ
子供の頃はよく小銭を握りしめて通い詰めたものだ
しかしながらあるのは、ぬいぐるみやお菓子をとるクレーンゲームばかりで
私の記憶にあるテーブル型のテレビゲームなどどこにも見当たらない
ずいぶんと様変わりしたものだ
当時のゲームセンターといえば倉庫のような薄暗い場所にゲーム機が並べられ
つねに素行の悪い者達から金を巻き上げられるかもしれないといった危険を伴いながら指にタコができるまで遊んでいた。
そんなホコリにまみれた記憶を懐かしんでいると
前方にクレーンゲームに勤しむ知り合いの姿
ぬいぐるみを掴んでは落とすを繰り返しながら
まるで貯金箱にお金を入れているかのごとく次々と硬貨が吸い込まれていく。
諦めてその場を離れたと思いきやお札をくずして舞い戻り
湯水のようにお金を流し込む豪遊っぷり
迫る上映時間を忘れてはいないだろうかと心配になる
幾度も挑戦の末ようやくぬいぐるみを手にしたところで声をかけた。
費用対効果が見合わないなどと言うつもりはない満足気な彼の顔がすべてなのだ。
それに感化されて私も挑戦してみることにした
慣れぬ手つきでクレーンを動かすとなんと一回で取れてしまうではないか
調子に乗ってもう一回やってみる、驚くことに二回目も成功してしまう
両手を振り上げ「ヨシ!」と絶叫しそうになるのを何とかこらえた。
まったくビギナーズラックというのは恐ろしい
柄にもなく感情が高ぶってしまいましたが
このまま続ければ貯金箱化するのが目に見えているので止めておきました。
それに、ぬいぐるみを抱えてニヤけるオジさんを想像してみてほしい
身の毛がよだつ・・・
ただ思いのほか楽しかったことも事実、なんでもやってみるものですね。
その後、ぬいぐるみを小脇に抱えて見た映画の内容は
ほとんど覚えていません。
長谷部